缶詰を直火で温めると爆発の危険?正しい温め方は?ちょい足しレシピも
缶詰を直火で温めると爆発の危険性があります。キャンプ飯の材料として便利な缶詰の正しい温め方や、爆発を防ぐ方法を詳しく解説しています。初心者でも簡単に作れる缶詰を使った直火レシピもピックアップしているので、ぜひキャンプ飯の参考にしてください。
缶詰を直火で温める危険性と正しい温め方を徹底解説!
キャンプの食事を魅力的にしてくれる缶詰。寒い冬も加熱すれば温かい食事を楽しめます。コンパクトなので登山などを行う際もいくつか用意していくと良いでしょう。
しかし、加熱する上ではいくつかの注意点があるのです。特に直火で加熱する際は爆発の危険性が。缶詰を直火で加熱する上での注意点や正しい温め方を紹介します。
缶詰を直火で温めても大丈夫?
コーティングが溶けて有害
缶詰は直火で温めても大丈夫なのでしょうか?その疑問を解決する上で、温める際の問題をチェックしましょう。
まず、缶詰は一部のものはコーディングが行われています。ポリ製、ペットボトル素材、エポキシ樹脂などを塗布しているのだとか。内側に使われているものは、食材が直接金属と触れるのを防ぐため、というのが目的なのです。
これらが加熱されると溶け出す可能性があります。コーティングが溶けたものを食べるのは有害であり、危険。メーカーもある程度は想定しているようですが、大量に食べることは大丈夫とはいえません。
スズが溶け出す
作る過程で溶接を行っているものもあります。そういった製品を直火で加熱すると、溶接のために使用したスズが溶け出す可能性が考えられるのです。
スズを使用しているものは、塗装していないブリキ缶タイプのものに多いとのこと。スチールにスズでメッキ加工していて、直火をすると溶け出す危険性があります。
キャンプ飯のためにシングルバーナーなどで長時間加熱するのは、コーティングやスズが溶け出す危険性を忘れないようにしましょう。
蓋を開けないと爆発する
缶詰を直火で加熱すると爆発する危険性があります。未開封のままだと内部に蒸気が発生するのです。
密閉されたままの状態だと破裂して爆発するかもしれません。特にオイルサーディンやツナ缶は油が多く含まれており、爆発した際に火災に繋がることもあります。
吹き飛んだ汁でやけどを負う可能性もあるので、蓋を開けないまま加熱するのは避けましょう。
缶詰の直火調理に対する大手3社のコメント
はごろもフーズ
缶詰の直火調理に関して、メーカーはどのように考えているのでしょうか?大手3社のコメントを紹介します。
はごろもフーズは缶詰を「直火にはかけないようにしてください」とコメントしています。理由として内部塗装が溶け出す可能性をあげており、湯煎を推奨していました。
マルハニチロ
マルハニチロは「直接火にかけることは大変危険です」とコメントしています。直火にかけるとコーティングが溶け出すことや、缶内の空気が膨張して爆発する危険性を理由にあげていました。
もし、加熱したい場合は沸騰したお湯を火からおろして、缶詰を入れる、という方法を推奨しています。合わせて、この作業のときはやけどに注意するよう喚起しています。
極洋
極洋は缶詰を直火で調理することを「想定していない使い方」とコメントしています。そのため、リスクに関してはっきりと答えられない部分があるとしながらも、やけどや爆発、コーティングが溶ける可能性を候補にあげていました。
溶け出す温度は300℃以上になると可能性があるそうです。製造過程では、加熱殺菌のために圧力をかけて130℃で加熱しており、そこまでは問題ない、という考えを明かしています。
缶詰をキャンプで直火で温める正しい方法
容器を移し替えて温める
缶詰をキャンプで直火で温める際、正しい方法を解説します。安全に温めるために、容器を移し替えるのがおすすめです。
キャンプギアの中ではクッカーと呼ばれるタイプの鍋やメスティンは、そのまま調理が行えます。その際、鍋全体が金属で使われており、ゴム素材が無いものを選びましょう。
万能型の鍋に移し替えることで火も全体に渡りやすく、料理もしやすくなります。キャンプ飯を堪能するために、焚き火でも使えるコンパクトな鍋を用意しておくのをおすすめします。
湯煎で温める
はごろもフーズなどのメーカーは、温め方として湯煎を推奨しています。お湯を沸かして火からおろして、その中に缶詰を入れて温めることが理想的なようです。
湯煎で温める場合も、お湯をこぼさないようにやけどに注意しましょう。また、開ける時に缶詰が熱くなっているので、軍手などを付けて開封するほうが安全に行えます。
蓋を必ず開ける
缶詰の中は水分が入っているものが多く、それが温められると膨張して爆発することがあります。
蓋を開けておくことで内部に蒸気が貯まることを防げます。移し替える鍋を用意し忘れて、直火で加熱することになった場合は必ず蓋を開けましょう。
汁を少し捨てる
やけどや吹きこぼれを防ぐために、缶詰の汁を少し捨てておくのもおすすめです。直火で温めているときに汁が吹きこぼれて、火柱が高くなり、火事に繋がる可能性があります。
また、温めたものを下ろすときに熱くなった汁がかかってやけどするのも避けられます。料理に利用をするときは、別の容器に汁を移して加熱するのも方法です。
弱火で加熱する
弱火で加熱することで缶詰が高温になりすぎるのを回避できます。シングルバーナーなど火の勢いを調整できるものがおすすめです。
登山でキャンプ飯を作る時に、じっくりと弱火で調理するほうが安全といえるかもしれません。弱火で様子をみながら美味しいキャンプ飯を作りましょう。
長時間加熱しない
ずっと加熱することで缶の温度はどんどん上昇します。温かいままのキャンプ飯を食べたい気持ちも理解できますが、安全のためには長時間加熱はNGです。
必要なときだけ加熱することで、缶が高温になってコーティングが溶け出すことがなくなります。
シングルバーナーを使用する
火力調整できるシングルバーナーを使用しましょう。シングルバーナーは大きく分けて2つの燃料タイプがあります。
1つは「LPガス」を使ったものです。LPガスは液体化したガスのことで、家庭で使うガスコンロに近いイメージで使用できます。
もう1つは「ホワイトガソリン」を使用するものです。ガソリンを精製したもので、火力が強くなっています。昔からのシングルバーナーではホワイトガソリンを使用したものが多いようです。
ホワイトガソリンタイプはポンピングという圧力をかけて、ガソリンを気化させる必要があります。そのため、初心者はLPガスを使ったシングルバーナーがおすすめです。
手元で簡単に火力を調節でき、初心者でも着火するのも簡単で大丈夫といえます。缶詰を温めすぎることを避けられますし、弱火での料理もやりやすいでしょう。
缶詰を直火調理するメリット
缶詰の直火調理のメリット①香りが香ばしい
缶詰を直火調理することで得られるメリットは何でしょうか?直火調理することで香ばしさがでて、美味しい香りを堪能できます。
料理をする上で香りは非常に重要なスパイスといえるでしょう。キャンプ飯のレシピには含まれていませんが、直火による香りも無視できない要素です。
缶詰の直火調理のメリット②手軽にキャンプ飯が楽しめる
キャンプ中はできるだけ手順を簡略化したい人も多いでしょう。そのまま直火調理するのは手軽で簡単です。
直火調理以外を選ぶとなるとキャンプギアも増えてしまうのです。焚き火などのついでに直火で調理できるのは手軽にキャンプ飯を用意できるメリットがあるといえるでしょう。
缶詰の直火調理のメリット③登山キャンプに便利
特に荷物を減らしたくなるのが登山キャンプといえるかもしれません。コンパクトなシングルバーナーでささっと調理するのは登山キャンプにおいては重要です。
さきほど紹介した直火調理での注意点や方法を守って行えば危険度も下がります。登山キャンプのときは直火で、その他の場合は別の容器に移し替えて調理するのも選択肢といえます。
缶詰の直火調理で楽しむちょい足し料理レシピ7選
①サバ缶アヒージョ
- サバの水煮缶(水煮がおすすめ) 1つ
- オリーブオイル 適量
- にんにくチューブ 適量
- エリンギ 適量
- お肉 1欠片
- バゲット 1つ
- 塩・こしょう 適量
- サバ缶を開けて、余分な水を切りましょう
- 缶を火にかけながらオリーブオイル、にんにくチューブ、エリンギ、お肉を入れて火にかけます
- 塩、こしょうで味を整えて煮えたら完成
- バゲットをつけて食べても美味しい!
キャンプ飯に多く使用されるサバ缶を使って、サバのアヒージョを作りましょう。登山キャンプのときに洋風のおしゃれな料理を食べるのも、なかなかオツといえます。
また、温められたオリーブオイルやにんにくの香ばしい香りがとても食欲をそそります。登山では体内の水分や塩分が消費されているので、少し味を濃いめにしても良いでしょう。
②鯖オイル漬けのトマトチーズ焼き
- 鯖オイル漬け 2つ
- トマト 小1個
- 玉ネギ 小1個
- スライスチーズ 4枚
- 塩・こしょう・バジル 適量
- 玉ネギの皮をむいて、半分岐してから5mm程度に切る
- トマトを輪切りにスライスする
- クッカーにアルミホイルを敷いて、鯖オイル漬けの中身を入れる
- 鯖に塩・こしょう・バジルを振ってから、玉ネギとトマトを入れる
- 改めて野菜に調味料をかけて、鯖オイル漬けのオイルをかける
- スライスチーズを乗せる
- アルミホイルを包んで、火にかけたら完成
こちらもサバ缶を使用したレシピです。チーズや野菜は栄養が豊富なのでキャンプ飯におすすめといえます。
調理する際は火加減にだけ気をつければ大丈夫です。野菜の食感やチーズのとろけ具合を調節して調理するのが楽しいメニュー。登山キャンプでも料理を堪能したい人におすすめとなっています。
③バターコーン
- コーン缶詰 1つ
- バター 10g
- ハーブソルト 適量
- 缶を開けて、汁気をしっかりと切りましょう
- ハーブソルトを適量かけ、かきまぜる
- 火にかけながらバターをコーンの上に乗せて、加熱します
- バターが溶けたら、かき混ぜて完成
バターコーンは料理が苦手な人でも大丈夫なレシピです。小腹が空いた時にもすぐ作ることができるでしょう。
材料も少なくて済むので登山キャンプにもぴったりなメニューといえます。普段料理をしない人も大丈夫なので、バターコーンから挑戦するのが無難です。
④焼鳥缶グラタン
- やきとりの缶詰 1つ
- とろけるチーズ 1枚
- 牛乳 適量
- マヨネーズ 適量
- パン粉 適量
- パセリ 適量
- 缶の中に牛乳、マヨネーズ、チーズ、スライスした玉ねぎ、パン粉を入れて混ぜます
- 直火にかけて、煮えてきたらパン粉を上から追加
- 上からパセリをかけると完成(バーナーがある場合は、上から炙るとおしゃれに)
やきとりの缶詰はキャンプ飯の定番の食材です。様々な料理に利用できるので、1つか2つ用意しておきましょう。
このレシピのポイントは加工された鶏肉を使用することで、食中毒を防いでいる点です。生肉をそのまま持っていくのは不安がありますが、缶詰なら安全といえます。着火用のミニバーナーで上から炙るとおしゃれなできあがりになるでしょう。
⑤クラムチャウダー風クリームスープ
- マッシュルーム缶 1つ
- コンソメ 小さじ1/2
- コーヒーフレッシュ 2個
- スライスチーズチーズ 1枚
- ブラックペッパー 少々
- マッシュルーム缶の汁を少し減らす
- 缶の中に材料と調味料をすべて入れて、かき混ぜる
- 煮込んでチーズが溶けたら完成!
他のレシピに合わせても良いマッシュルーム缶ですが、チーズと合わせるだけでも大丈夫です。
マッシュルームとチーズのコク、そして香りがとても食欲をそそります。コーヒーフレッシュを使うことで簡単にクリーミーさを出せるので、料理初心者も大丈夫!
コンソメを入れることで洋風感をアップさせており、マッシュルーム缶で洋風の美味しい料理ができあがります。
⑥トマトチーズリゾット
- ホールトマト缶 1つ
- 細切りチーズ 適量
- コンソメスープの素 1欠片
- 塩むすび 2個(コンビニのものや、余った冷や飯)
- にんにくチューブ 適量
- ホールトマトの中身を半分あける(減らした缶の方を使用)
- 缶の中に塩むすびを入れて、混ぜる
- チーズを入れて、さらに混ぜる
- コンソメスープの素を半かけら入れましょう
- にんにくを適量追加して、あとは煮え立つまで加熱したら完成
料理に自信がある人は、少し凝ったレシピに挑戦しましょう。ホールトマト缶を使用して、じっくりと煮込んだトマトリゾットが作れます。
シングルバーナーで火力を調整するのがポイントで、煮すぎないようにしましょう。また、生米から作る場合は少し芯が残るくらいがおすすめになります。リゾットはトマトやチーズのコクのある味わいを堪能できるメニューです。
⑦チーズタッカルビ
- やきとり缶 1つ
- コチュジャン 適量
- とろけるチーズ 1枚
- キャベツ 適量
- やきとり缶の中身を出して、コチュジャンとちぎったキャベツを入れて混ぜる
- 混ぜ合わせた具材を、缶に戻す
- 上に追加のちぎったキャベツと、とろけるチーズを乗せる
- 火にかけて、チーズが溶けたら完成
寒い季節は辛い料理がおすすめです。チーズタッカルビはコチュジャンが入っているので、身体が温まる料理になっています。
シンプルにやきとり缶ととろけるチーズだけでも大丈夫ですが、レシピに玉ねぎなどの具材を足すと、ボリュームがアップ!辛さを調整して、自分好みの味に仕上げましょう。
缶詰を直火調理する際はポイントを押さえて安全に!
缶詰の直火調理をする際の注意点を解説しました。料理する際は長時間加熱しないこと、フタを開けることがポイントです。
キャンプ飯として便利な缶詰ですが、直火調理は爆発などの危険性があります。しっかりと調理法のポイントを守って、美味しいキャンプ飯を食べましょう。
この記事をシェアする!
缶詰を直火で温めると爆発の危険?正しい温め方は?ちょい足しレシピも
関連記事
キャンプ知識
焚き火で煙が出る原因と対策についてまとめています。煙が出る理由となる薪の水分や燃焼温度、対策方法や薪の組み方について詳しく解説。さらに煙や匂いが少ないオススメの焚き火台も厳選して紹介しますので、焚き火をもっとうまくなりたい人はぜひ読んでください。
キャンプ知識
自宅の庭で焚き火やバーベキューをすると法律違反になるのかを徹底調査!庭で焚き火やバーベキューをする場合の各種の法律(消防法や軽犯罪法・条例・廃棄物処理法)についてまとめています。公園や河川敷では大丈夫なのかも一緒に解説しています!
キャンプ知識
ブッシュクラフトが違法になる可能性を解説します。アウトドアでブッシュクラフトを行う場合、どういった場所では違法になるのか確認しましょう!ブッシュクラフトができる場所や探し方のテクニックを参考にして、ルールを守った上で行ってください。
キャンプ知識
サバイバル時に大切な食べ物の調達方法を紹介!この記事では、山や無人島で調達できる食べ物や、調達してきた食料の保存方法について解説していきます。サバイバル時に食べる際の注意点や少しでも美味しく食べるためのポイントもわかりやすくまとめました。
キャンプ知識
バーベキューでの牡蠣(かき)の美味しい焼き方を伝授します!バーベキューで牡蠣を美味しく焼く手順や、注意点を解説していきます。また、牡蠣の名産地も紹介していますので、ぜひ参考にして美味しい牡蠣のバーベキューを楽しんでみてください。
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。