キャンプは自然の中で非日常を楽しめる最高のアウトドア体験ですが、一歩間違えると命に関わるリスクも潜んでいます。その中でも特に注意したいのが「低体温症」です。
低体温症は真冬だけの問題ではありません。春先や秋口、さらには夏の高原キャンプでも発症する可能性があります。雨や強風、濡れた衣類、疲労などが重なると、想像以上に体温は奪われていきます。
本記事では、
・キャンプで起こる低体温症の基本知識
・初期症状の見分け方
・現場でできる応急処置の方法
・予防対策と装備のポイント
・子どもや初心者が特に注意すべき点
を詳しく解説します。
万が一の事態に備えて、正しい知識を身につけておきましょう。
低体温症とは?キャンプで起こるリスクの基本

低体温症の定義と危険性
低体温症とは、体の中心部の体温(深部体温)が35℃未満に低下した状態を指します。体温が下がると、体の機能が徐々に低下し、最悪の場合は意識障害や心停止に至ることもあります。
特にキャンプでは、
・雨に濡れる
・強風にさらされる
・汗冷え
・夜間の急激な冷え込み
・水辺での活動
といった状況が重なることで、低体温症のリスクが高まります。
真夏でも起こる理由
「低体温症=冬」というイメージがありますが、実際には気温がそれほど低くなくても発症します。
例えば、
・標高の高いキャンプ場
・夕立に濡れたままの状態
・川遊び後に体が乾いていない
・風速が強い状況
では、体温が急激に奪われます。
風速1m上がるだけで体感温度は約1℃下がると言われており、風と濡れは最大の敵です。
キャンプで低体温症が起きやすいシチュエーション
山間部・高原キャンプ
標高が高い場所では、平地よりも気温が低くなります。夜間は放射冷却によりさらに冷え込みます。
昼間は半袖で過ごせても、夜は10℃以下になるケースも珍しくありません。
雨天キャンプ・濡れた衣類
濡れた服は体温を急速に奪います。特にコットン素材は乾きにくいため注意が必要です。
川遊びや水辺アクティビティ
水温は空気よりも体温を奪いやすい性質があります。長時間水に浸かると、気づかないうちに体温が下がります。
疲労・空腹状態
エネルギー不足や疲労は体温維持能力を低下させます。登山や長時間の設営作業後は特に注意が必要です。
低体温症の初期症状と進行段階

初期症状(軽度)
・震えが止まらない
・手足の感覚が鈍くなる
・集中力の低下
・動きがぎこちなくなる
震えは体が熱を生み出そうとしているサインです。
中等度
・震えが弱まる、または止まる
・言葉がはっきりしない
・意識がぼんやりする
・歩行困難
震えが止まるのは悪化のサインです。
重度
・意識消失
・呼吸が浅い
・脈拍が弱い
この段階では直ちに救急要請が必要です。
低体温症の応急処置の基本
まずは安全な場所へ移動
風雨を避けられる場所へ移動させます。
・テント内
・車内
・建物内
風を遮るだけでも体温低下は抑えられます。
濡れた衣類を脱がせる
濡れた服は速やかに脱がせ、乾いた衣類へ着替えさせます。
着替えがない場合は、
・タオルで水分を拭き取る
・シュラフで包む
・ブランケットを使う
などで保温します。
ゆっくりと体を温める
急激な加温は避けます。
・毛布や寝袋で包む
・体を密着させて体温を伝える
・温かい飲み物を少量ずつ飲ませる
※意識がはっきりしている場合のみ経口摂取可。
直接火や高温器具を当てない
ストーブや焚き火に直接近づけると、血圧が急変する恐れがあります。
体の中心部(胸・首・脇・鼠径部)を優しく温めましょう。
やってはいけないNG対応

強くマッサージする
末梢の冷えた血液が一気に心臓へ戻り、ショック状態になる可能性があります。
無理に歩かせる
体力消耗が進み、悪化します。
アルコールを飲ませる
一時的に暖かく感じても、血管拡張により体温をさらに失います。
低体温症を防ぐための予防対策
レイヤリング(重ね着)の徹底
基本は3層構造。
・ベースレイヤー(吸湿速乾)
・ミドルレイヤー(保温)
・アウター(防風・防水)
コットン素材は避け、化学繊維やウールを選びましょう。
寝具の温度管理
寝袋の温度帯を確認し、使用環境に適したものを選びます。
地面からの冷え対策として、
・断熱マット
・コット
・厚手のグランドシート
を活用しましょう。
雨対策を万全にする
・レインウェア
・防水シューズ
・予備の靴下
濡れを最小限に抑えることが最大の予防策です。
食事とエネルギー補給
高カロリーな食事は体温維持に役立ちます。
・温かいスープ
・炭水化物
・脂質を含む食事
を意識しましょう。
子ども・初心者が特に注意すべき理由

子どもは体温調整が未熟
体が小さい分、体温が奪われやすい傾向があります。
震えを訴えられない年齢の子どもは特に注意が必要です。
初心者は装備不足になりやすい
軽装や準備不足が低体温症の原因になります。
「少し暑いかな?」と思うくらいの装備がちょうど良い場合もあります。
緊急時の判断基準
以下の場合はすぐに救急要請を検討してください。
・震えが止まった
・意識がはっきりしない
・呼びかけに反応が鈍い
・呼吸が不規則
山間部では救急到着まで時間がかかることもあります。早めの判断が重要です。
まとめ|低体温症の基本と応急処置を知ることが命を守る

キャンプ中の低体温症は、決して珍しい事故ではありません。しかし、
・正しい知識
・早期発見
・迅速な応急処置
・事前の予防対策
を徹底すれば、リスクは大幅に減らせます。
自然は素晴らしい反面、油断すると牙をむきます。
「まだ大丈夫」ではなく、「今のうちに対策する」意識が何より大切です。
安全対策を万全に整え、安心してキャンプを楽しみましょう。
万が一の時に冷静に行動できるよう、本記事の内容をぜひ覚えておいてください。

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